ポンプ室の役割と給水の流れ遠賀川の水は、一旦貯水池に貯められ、ポンプ室の送水ポンプによって、約11km離れた九州製鉄所八幡地区まで送られます。その後は、鉄鋼生産のために使用されています。 |
世界文化遺産に認定されたレンガ造りの
|
建設に携わった人たち 遠賀川水源地ポンプ室は、官営八幡製鐵所の鋼材生産量を2倍とする第一期拡張計画に伴い、新たな水源を遠賀川に求めた事によって1910年、当時の遠賀郡底井野村の遠賀川右岸に完成しました。送水システムの設計監理は日本近代水道の父と称される中島鋭治東京帝国大学教授。測量や工事の担当は横浜、函館、東京など各地の水道工事に携わった亀井重麿。そしてポンプ室建屋設計図にサインがある舟橋喜一は奈良帝国博物館(現奈良国立博物館)や迎賓館の工事に携わっています。 |
ボイラーとポンプ 遠賀川水源地ポンプ室に導入されたボイラーは、明治時代に国内シェアの大半を占めていたバブコック&ウィルコックス社製。エンジンポンプはデビー社製の水道施設向け3段膨張エンジンポンプが設置されました。「明治日本の産業革命遺産」の構成資産である三池炭鉱には坑内揚水用にデビー社製ポンプが導入され、炭鉱経営を軌道にのせる役割を果たしています。製鐵所に欠かせない工業用水を送水する重要な施設として海外で実績のある大型ポンプが導入されたと推測されています。 |
飲料水も送っています 八幡製鐵所への工業用水だけでなく、当時の若松町や八幡市、戸畑市にも上水道を供給し、都市衛生基盤の向上に大きな役割を果たしました。また、現存する明治時代のレンガ造り送水ポンプ場としては国内最大規模となっています。 |
世界遺産「遠賀川水源地ポンプ室」をめぐる
|